関東では屋形船、関西では川床。昔ながらの涼の取り方

関東では屋形船、関西では川床。昔ながらの涼の取り方


暑い日が続くと体に堪えますね。

みなさんはどのようにして涼を取っていますか?冷たいものを食べたり、冷房の効いた部屋にいたり、避暑地へ行くなどして、気軽に涼を取っている方が多いと思います。

ところで、冷蔵庫や冷房もなく、交通網も発達していなかった時代はどのようにして涼を取っていたのでしょうか?今回は「夏の涼」をテーマに、昔ながらの涼の取り方をご紹介します。


「氷」で涼を取る

冷蔵庫などがない時代は、氷室に貯蔵していた氷が京や江戸に運ばれていました。氷室とは、山の洞窟などで雪や氷を夏まで貯えておく場所のことです。京都へは北山の山奥から、江戸へは加賀(現在の石川県)から運ばれたといわれています。

しかし、この氷室も製氷技術が発展した明治時代あたりから姿を消してしまいました。

現在では、かき氷やアイスクリームなどで、気軽に涼を取ることができますね。


「打ち水」で涼を取る

水を利用することで気軽に涼を取ることができます。

その代表的な方法が打ち水です。打ち水とは、玄関の軒先、庭やベランダなどに水を撒くこと。打ち水を行うことによって、地面の熱が空気中に逃げ、温度が下がり、涼しくなります。地面が土の場合は、土埃を抑える効果も期待できるでしょう。

最近では、アスファルトやコンクリートが熱を蓄え、気温が上昇するヒートアイランド現象が起きています。打ち水はこのヒートアイランド対策としても注目されています。


「川」で涼を取る

川の上は昔から、暑さをしのぐ場所として活用されてきました。代表的なのは、船や橋の上です。

橋の上は風通しがよく、川からの冷気が流れ込むため、涼が取れました。江戸時代の隅田川は、涼を取る人々で大変賑わっていたといいます。

屋形船や納涼船など、船上で涼を取る方法も知られており、東京をはじめ関東圏では現在でも人気です。

大阪や京都には、「川床(かわゆか、かわどこ、ゆか)」といって、川の上に床を作り、その上で涼を取りながら食事をする文化が残っています。


「怪談」で涼を取る

背筋も凍る怪談話は、現在でも夏の風物詩となっています。

怪談はもともと、武士が度胸を付けるための肝試しとして使われてきました。江戸時代になると一般庶民にも浸透し、怪談話ばかりを収録した「伽婢子(おとぎぼうこ)」という本が出版されます。この「伽婢子」には「百物語」の方法が載っていて、それが大流行しました。

「百物語」とは、何人か集まって順番に怪談を語っていくものです。月の出ていない夜に、青い紙を貼った行燈(※)に百の燈心を入れて、怪談を語るたびに一つずつ燈心を消していきます。すると、百番目の怪談が終わり、すべての燈心が消えて真っ暗になったとき、恐ろしい化け物が現れる、といわれていました。ほとんどの人は、本当に恐ろしい化け物が出ては困ると、九十九話でやめていたそうです。

現在は、製氷や冷蔵技術の進歩で、冷えた飲み物やアイスクリームなど、冷たいものを気軽に取ることができるようになりました。だからといって冷たいものばかり摂取していると、体調を崩しやすくなります。「打ち水」や「怪談」など、昔ながらの知恵と工夫で涼を取って、夏を楽しんでみてはいかがでしょうか。

(※)行燈(あんどん) … 油の入った燈心に火を灯して使う照明具


※このページに掲載している情報は、2018年8月6日時点のものです。
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参考文献

「暮らしのならわし十二か月」白井明大、有賀一広(飛鳥新社)、「暮らしのしきたり十二か月」神宮館編集部(神宮館)、「江戸はスゴイ」堀口 茉純(PHP新書)、「百物語の怪談史」東雅夫(角川ソフィア文庫)、「江戸の怪談絵事典 -こわい!不思議! お化け・妖怪から怪奇現象まで-」近藤雅樹 監修(PHP研究所)

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